日本の詩人の系譜・島崎藤村ー3 “小諸なる古城のほとり”
小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ
緑なす繁縷は萌えず 若葉も敷くによしなし
しろがねの衾の岡辺 日に溶けて淡雪流る
あたたかき光はあれど 野に満つる香も知らず
浅くのみ春は霞みて 麦の色わずかに青し
旅人の群れはいくつか 畠中の道を急ぎぬ
暮れ行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよう波の 岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む
この詩には、解説は不要だと思う。繰り返し音読してみてください。詩は韻律なのです。言葉の韻と、律動が感じられるでしょう。私見ですが、藤村は万葉集を深く学んでいるように思います。
明治において、短歌の改革をした正岡子規は、短歌における写生の大切さを説いています。この詩に於ける風景描写は、 見事だと言わざるを得ません。そして心地よい韻律。
長年にわたり、多くの人たちから愛されたわけですね。
2010/12/29 Prof. Kubo
小生は、これから2011・01・03まで上高地に入ります。厳しい自然と独り触れ合いたいと思います。ではまた2011年にこのブログ上で合いましょう。
良いお年を!
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