2010年12月30日木曜日

10.日本文化の源流・日本の詩人の系譜・島崎藤村ー3 

日本の詩人の系譜・島崎藤村ー3  “小諸なる古城のほとり”

   小諸なる古城のほとり  雲白く遊子悲しむ

       緑なす繁縷は萌えず 若葉も敷くによしなし

          しろがねの衾の岡辺 日に溶けて淡雪流る


   あたたかき光はあれど 野に満つる香も知らず

       浅くのみ春は霞みて 麦の色わずかに青し

         旅人の群れはいくつか 畠中の道を急ぎぬ


    暮れ行けば浅間も見えず  歌哀し佐久の草笛

       千曲川いざよう波の  岸近き宿にのぼりつ

            濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む


この詩には、解説は不要だと思う。繰り返し音読してみてください。詩は韻律なのです。言葉の韻と、律動が感じられるでしょう。私見ですが、藤村は万葉集を深く学んでいるように思います。
明治において、短歌の改革をした正岡子規は、短歌における写生の大切さを説いています。この詩に於ける風景描写は、    見事だと言わざるを得ません。そして心地よい韻律。
   長年にわたり、多くの人たちから愛されたわけですね。

         2010/12/29  Prof. Kubo

小生は、これから2011・01・03まで上高地に入ります。厳しい自然と独り触れ合いたいと思います。ではまた2011年にこのブログ上で合いましょう。

            良いお年を!

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