2010年12月23日木曜日

8.日本文化の源流・日本の詩人の系譜・島崎藤村ー2 椰子の実

8.日本文化の源流・日本の詩人の系譜・島崎藤村ー2 

  皆さんは、小学校唱歌を唄った経験がありますよね~
    今回取り上げた詩・椰子の実は、貴女方も唄ったのです


          椰子の実

    名も知らぬ遠き島より
       流れ寄る椰子の実一つ

          故郷の岸を離れて
             汝はそも波に幾月
 
     旧の樹は生ひや茂れる
         枝はなほ影をやなせる

            われもまた渚を枕
                孤身の浮寝の旅ぞ

      実をとりて胸にあつれば
           新なり流離の憂い

          海の日の沈むを見れば
               激り落つ異郷の涙

             思ひやる八重の汐じお
                 いづれの日にか国に帰らん


皆さんも、口ずさんだことでしょう。この詩は知っていますよね~ でも、知っていることと理解していることとは違うのですよ。
海岸に流れ着いた椰子の実の情景を歌った。それは間違いありません。でも後半の
われもまた渚を枕孤身の浮寝の旅ぞ
  海の日の沈むを見れば

皆さんは、遊子(ゆうし)という言葉を知っていますか?これは定め無き放浪する旅人のことなのです。藤村は流れ着いた椰子の実を見て、定めなく放浪する、自分の胸中を歌っているのです。この彼の心情は、7.で掲載した中国の詩人李白の行路難で歌われている、李白の心情と通うものがありますよね~
お分かりですか、民族を超え、時代を超えても、人の人生は変わらないのです。そのことは、今の貴女方にも繋がることなのです。12/31から上高地でキャンプ生活を送ります。
2010・12・23  Prof.Kubo

       激り落つ異郷の涙  思ひやる八重の汐じお
               いづれの日にか国に帰らん


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