25. 日本の詩人の系譜:与謝野晶子“君死にたもうことなかれ”
(旅順の攻囲軍にある弟宗七を嘆きて)
ああ、弟よ、君を泣く、 君死にたまふことなかれ
末に生まれし君なれば 親のなさけは勝りしも
親は刃を握らせて 人を殺せと教へしや、
人を殺して死ねよとて 二十四まで育てしや
中 略
ああ、弟よ、戦ひに 君死にたまふことなかれ
過ぎにし秋を父君に おくれたまへる母君は、
嘆きのなかにいたましく 我子を召され、家を守り
安しと聞ける大御代も 母の白髪は増りぬる
暖簾の陰に伏して泣く あえかに若き新妻を
君忘るるや、思へるや 十月も添はで別れたる
乙女心を、思ひみよ この世ひとりの君ならで
ああまた誰を頼むべき 君しにたまふことなかれ
2011/02/27 Prof. Kubo
2011/02/27 Prof. Kubo
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